滝と湿原と温泉と。那須塩原をぐるり、贅沢絶景ドライブ1日コース

「絶景を巡るなら何泊も必要でしょ」と思っていませんか。栃木県・那須塩原なら、雲に近い高原の湿原も、迫力の滝も、黄金色の温泉も、車で一日あればぐるりと巡れます。
朝は霧の残る湿原を歩き、お昼は打ちたてのそば、午後は滝と吊橋でスリルを味わって、夕方は湯けむりの中でひと息。今回は、那須塩原市の東から西へ流れるように進む贅沢な一日コースをご案内します。出発の準備ができたら、さっそく車を走らせましょう!

出発前に知っておきたい、服装とクマのこと

今回巡るのは、湿原や滝など自然のなかのスポットばかり。階段や山あいの遊歩道が続くので、足元はスニーカーやトレッキングシューズなどの歩きやすい靴を選んでください。竜化の滝や回顧の滝、沼ッ原湿原には、足場の悪い場所もあります。

最初に向かう沼ッ原湿原は標高約1,230m。夏でも高原はひんやりとして、朝や夕方は冷え込みます。半袖一枚で行くと震えることもあるので、羽織りものを一枚バッグに入れておくと安心です。沢や滝のそばは水しぶきで濡れて滑りやすいため、撮影に夢中になって足をすべらせないよう気をつけましょう。また、山の天気は変わりやすいので、傘やカッパなど雨具も必須です!

そしてもうひとつ大切なのが、クマのこと。那須塩原市はツキノワグマがすむ地域で、栃木県と市が出没情報を随時公表しています。山あいの遊歩道(沼ッ原湿原・竜化の滝・回顧の滝)を歩くときは、熊鈴を鳴らすなど音を出し、薄暗い早朝や夕暮れにひとりで歩くのは避けてください。安全に楽しむことが、最高の絶景を味わう第一歩です!

標高1,230m、雲の近くを歩く|沼ッ原湿原

最初の目的地は、那須連山の西のはしに広がる沼ッ原湿原。標高は約1,230mで、東西約250m・南北約500mの高層湿原です。那須岳を背に木道がぐるりと一周し、観光地のにぎわいから離れた静けさが広がります。駐車場に車を停めて、いざ湿原へ。

ここで覚えておきたいのが、行きと帰りで道の向きが変わること。駐車場から湿原までは山道を下って約15分ですが、帰りはその分の上り坂になります。標高差は約30mほど。帰りはゆるやかな上り坂になるので、少しだけ余力を残して歩くのがおすすめです。湿原に着いたら、木道を一周およそ30分。歩きながら景色がゆっくり変わっていきます。

季節ごとの表情も見どころです。新緑とツツジが彩りを添え、初夏にはコバイケイソウなど様々な花たちが咲き始めます。実際に歩いた人からは「空気が澄んでいて気持ちいい」「那須連山をバックに歩ける場所はなかなかない」という声が多く聞かれます。一方で、サルの群れに出会ったという報告もあるので、野生動物とは十分に距離を保ってください。

駐車場までの市道は一部が砂利道でカーブも多く、たどり着くのに少し手間がかかります。でも、そのぶん訪れる人が少なく、ゆったり過ごせる穴場でもあるのです。「喧騒から抜け出して、空の近くで深呼吸したい」。そんな一日のスタートにぴったりの場所です。

⚫︎沼ッ原湿原 基本情報
所在地:那須塩原市板室
駐車場:沼ッ原駐車場(無料・普通車約100台)
歩行:駐車場から湿原まで約15分(行きは下り・帰りは上り)、木道1周約30分
トイレ:駐車場北側に公衆トイレ(雨水利用のため飲用不可)。湿原内にトイレなし
冬季閉鎖:12月上旬〜翌4月下旬は市道が通行止め(トイレも冬季閉鎖)

水音とマイナスイオンに包まれる|乙女の滝

湿原で高原の空気を味わったら、車で少し走って乙女の滝へ。幅約5m・落差約10mの清らかな滝です。県道沿いにある「乙女の滝駐車場P」が目印になります。

滝へは、駐車場から30mほどの階段を下りていきます。数分ほどでたどり着いた観瀑台からは、流れ落ちる水を正面に望めます。水辺のすぐ近くまで近づくこともできる箇所もありますが、地面がぬかるんでいたりするので一歩ずつ慎重に。

訪れた人からは「立っているだけで心地いい」「水音とマイナスイオンに癒やされる」という声が。光の向きがそろう時間帯によっては、しぶきに虹がかかることもあります。夏は気軽に涼を求める人で賑わう、ひんやり気持ちのいい避暑スポットです。

滝つぼの近くには立ち入らないように看板が出ているので注意してください。決められた場所からでも、滝の美しさは十分に伝わってきます。

⚫︎乙女の滝 基本情報
所在地:〒325-0111 那須塩原市板室703(県道266号沿い/目印「乙女の滝駐車場P」)
駐車場:乙女の滝休憩所前に普通車約20台(無料)。道が狭くバス駐車不可
トイレ:駐車場東側に公衆トイレ(冬季閉鎖:12月中旬〜翌3月中旬)
アクセス:駐車場から階段を下って観瀑台へ。片道数分、急勾配で滑りやすい

滝のそばで、一杯のコーヒーを|COFFEE ONTARIO

乙女の滝の駐車場には、うれしい立ち寄りスポットがあります。古い休憩所を生かした小さなコーヒースタンド、COFFEE ONTARIOです。週末を中心に不定期で営業していて、テイクアウトした一杯を、滝のそばのベンチ(パークレット)で味わえます。

ここはテレビ番組でも紹介されたことのある、知る人ぞ知る一軒。水出しアイスコーヒーや、Ovgo bakerのヴィーガンクッキーなどが供されます。高原のさわやかな空気のなかで飲む一杯は、それだけで旅のごほうびになります。マイカップを持っていけば、味わいもいっそう特別になりますよ。

営業日が限られているため、せっかく行ったのに閉まっていたとならないよう、滝とセットで立ち寄るなら事前のチェックがおすすめです。営業日は、SNSを確認してください。

⚫︎COFFEE ONTARIO 基本情報
場所:乙女の滝駐車場・休憩所内(駐車場は乙女の滝と共用)
営業:週末(土・日・月)を中心に不定期。テイクアウト可
営業日:SNSを確認 
Instagram:@o_n_t_a_r_i_o_

お昼ごはん①:北海道産そば粉の手打ちそば|そば処やしお

午前中にたっぷり歩いたら、おなかもすいてきますね。一軒目の候補は、板室温泉街にたたずむ古民家風の老舗そば屋、そば処やしおです。創業は昭和56年(1981年)。長く地元と旅人に愛されてきたお店です。

看板メニューは、日本最北の地・北海道音威子府(おといねっぷ)産のそば粉と、那須の名水で打つ手打ちそば。細めで、香りとコシが豊かな一杯です。そこに合わせるつゆは、カツオやサバ、昆布などからとった出汁を利かせた繊細かつ豊かな味わい。新鮮な山菜や野菜の天ぷらも人気です。

ぜひ味わってほしいのが、名物の『天付三種そば』。くるみ胡麻だれ、山芋、辛味おろしという三種類の味で、一度に食べ比べを楽しめます。一杯で何度もうれしい、ちょっと贅沢なそばです。

⚫︎そば処やしお 基本情報
所在地:那須塩原市板室844-41
電話:0287-69-0140
営業時間:11:00〜15:00
定休日:火曜日 ※最新情報は、HPまたはSNSを確認してください
駐車場:あり
HP:nasuyashiosoba.com/Instagram:@nasuyashiosoba

お昼ごはん②:廃校がレストランに|北風と太陽

もう一軒のランチ候補は、少し変わった場所にあります。それが、廃校になった旧戸田小学校を再生したレストランカフェ、北風と太陽です。かつての校舎を生かした空間には、教室の面影があちこちに残り、初めて来たのにどこか懐かしい気持ちになります。

メニューも本格派。那須高原和牛の煮込みハンバーグや、ヤシオポークと農園野菜のカレー、彩り豊かな前菜の盛り合わせなどが味わえます。(季節などにより変更あり)

筆者は、窓の外に広がるグラウンドを眺めながらの食事に、のんびりと心地よい時間を過ごすことができました。

館内にはギャラリーも併設され、地域のアートを巡る『ART369プロジェクト』にも参加しています。食事のあとに作品を眺めれば、ちょっとした美術館気分も味わえます。地域に根ざした、温かな雰囲気の一軒です。

⚫︎北風と太陽 基本情報
所在地:那須塩原市戸田708-1
電話:0287-73-8700
営業時間:ランチ 11:00〜14:00(L.O.13:30)/カフェ 14:00〜16:00(L.O.15:15)
定休日:火曜・水曜 ・第一木曜 ※最新情報は、SNSを確認してください
Instagram:@kitakazetotaiyou2019

竜が昇る三段の滝|竜化の滝

板室から横断道路を抜けて塩原方面へ。午後は、塩原を代表する滝、竜化の滝からスタート。那須塩原市内には100以上もの滝があるといわれますが、そのなかでも特に名高い『塩原十名瀑』のひとつに数えられています。

名前の由来は、その姿にあります。三段になって流れ落ちる水の様子が、まるで竜が天へ昇っていくように見えることから、この名がつきました。国道400号沿いの駐車場に車を停め、渓流沿いの遊歩道を片道約20分(往復で約40分、距離は約700m)。歩いていく道中も見どころで、途中には布滝、風挙(ふうきょ)の滝という二つの滝が現れます。

たどり着くまでの時間があるからこそ、本命の滝に出会えたときの感動はひとしおです。緩やかな坂や階段が続き、足元の悪い場所もあるので、歩きやすい靴は必須。とくに紅葉の時期は、色づいた渓谷美が際立ち、歩く時間そのものがごほうびになります。

⚫︎竜化の滝 基本情報
所在地:〒329-2921 那須塩原市塩原字東山国有林(国道400号沿い)
遊歩道:駐車場から約700m、片道約20分(往復約40分)
トイレ:駐車場にあり
注意:坂・階段が続き、足元の悪い箇所もあります(滑りにくい靴必須)

振り返らずにいられない美しさ|回顧の滝・回顧の吊橋

次は、名前からして気になる回顧(みかえり)の滝へ。国道400号のがま石トンネル付近、蟇石(がまいし)園地が入口です。「去っていく旅人が、振り返らずにはいられない」。そんな美しさが名前の由来になっています。明治の文豪・尾崎紅葉の小説『金色夜叉(こんじきやしゃ)』にも描かれた、文人ゆかりの地です。

蟇石園地の駐車場に車を停めたら、尾崎紅葉の記念碑を眺めつつ遊歩道へ。滝までは約10〜15分です。途中には1987年に完成した回顧の吊橋がかかっています。全長100m、高さ30m。渡ってみると橋はよく揺れるので、高い場所が苦手な人には少しスリリングに感じるかもしれません。

滝を望めるのは、橋を渡った先にある観瀑台から。箒川の支流にかかる滝が、対岸に細く繊細な姿を見せてくれます。筆者は何度か散歩とリフレッシュで訪れており、対岸に流れる滝の繊細さと渓谷美に癒されています。

そして秋、渓谷が紅葉に染まるころが見どころの本番です。揺れる吊橋と色づく木々、繊細な滝が一度に楽しめる、この季節ならではの絶景が待っています。

⚫︎回顧の滝・回顧の吊橋 基本情報
所在地:〒329-2801 那須塩原市関谷字西山国有林(国道400号・がま石トンネル付近)
駐車場:蟇石園地駐車場(普通車12台・無料)
トイレ:蟇石園地に公衆トイレあり
アクセス:駐車場から記念碑を経て遊歩道へ、約10〜15分。急な階段・滑りやすい箇所あり

本州最大級、320mを渡る|もみじ谷大吊橋

午後のハイライトは、塩原ダム湖に架かるもみじ谷大吊橋です。全長はなんと320m。補剛桁(ほごうげた)という補強材を持たない歩道専用の吊橋としては、本州最大級を誇ります。主塔の高さはおよそ26m。数字を聞くだけでも、そのスケールの大きさが伝わってきますね。

橋の上に立つと、塩原渓谷の景色が四季折々に広がります。新緑の季節、そして名前の通り紅葉の季節は格別です。ただし、これだけ長い吊橋ですから、歩けばかなり揺れます。それでもそこから見える景色は格別で、スリルと絶景を一度に味わえる、ちょっとぜいたくなスポットです!

橋のたもとには『森林の駅』があり、物産店や直売所、ソフトクリーム、レストランがそろっています。橋を渡ったあとのひと休みや、お土産選びにぴったりの場所です。

紅葉が見ごろの時期は、駐車場に入るまで渋滞することもあります。時間に余裕を持って訪れると、あわてずにゆっくり楽しめます。

⚫︎もみじ谷大吊橋 基本情報
所在地:〒329-2801 那須塩原市関谷1425-60
営業時間:8:30〜18:00(4/1〜10/31)/8:30〜16:00(11/1〜3/31)
渡橋料:大人300円、小中学生200円、65歳以上・障害者200円、幼児無料
駐車場:無料・2か所(左岸=国道400号側/右岸)
売店ほか:たもとの『森林の駅』に物産店・直売所・ソフトクリーム・レストラン・トイレあり
所要:往復約20〜30分

一日の締めくくりは温泉で|日帰り入浴4選

たっぷり歩いて景色を味わったあとは、温泉でしめくくり。塩原・西那須野エリアには、気軽に立ち寄れる日帰り温泉がそろっています。その日の気分や帰り道に合わせて、お好みの一湯を選んでください。

塩原グリーンビレッジ『福のゆ』

箒川沿いの総合アウトドア施設にある日帰り温泉です。無色透明の自家源泉は、肌にやさしいうるおいの湯。湯あがりには食事処でひと息つけます。

所在地:那須塩原市塩原1230
電話:.0287-32-2751
営業時間:平日/ 日曜日 10:00~20:00(受付終了 19:30)、土曜日 / 特定日 10:00~21:00(受付終了 20:30)
料金:大人(中学生以上)800円、小人400円、65歳以上500円/宿泊者無料
レストラン:あり
HP:shiobara-gv.net/Instagram:@shiobaragreenvillage

みかえりの郷 彩花(さいか)の湯

もみじ谷大吊橋や回顧の滝の近く、国道400号沿いにあります。高台の露天風呂からは山並みが一望でき、絶景めぐりのしめくくりにぴったり。自家源泉かけ流しのナトリウム塩化物泉で、体の芯まで温まります。

所在地:那須塩原市関谷1425-211(みかえりの郷内)
電話:0287-34-1126
営業時間:通年10:00〜21:00ごろ(閉館22:00)。季節により受付終了が早まることあり
定休日:HPで要確認
駐車場:80台・無料
料金:大人700円、小人(3歳〜小学生)400円
HP:mikaerinosato.jp

那須千本松牧場 千本松温泉

那須千本松牧場のなかにある日帰り温泉です。やや黄金色をしたアルカリ性単純温泉(pH9.0前後)のモール泉で、美肌の湯として親しまれています。湯あがりに千本松牛乳やアイスを味わったり、無料の足湯でくつろいだり。西那須野塩原ICからすぐで、帰り道にも寄りやすい一軒です。

所在地:〒329-2747 那須塩原市千本松799
電話:0287-36-1025(千本松牧場)
営業時間:13:00〜23:00(最終受付22:30)
定休日:なし(メンテナンス休館あり)
駐車場:牧場全体で1,200台・無料(温泉最寄りの第4駐車場は約40台)、大型可
料金:平日:大人700円、小学生250円、未就学児無料/土日祝日:大人800円、小学生300円、未就学児無料
HP:senbonmatsu.com/onsen

塩原あかつきの湯

地下1,500mから湧くpH9.2のアルカリ性単純温泉。露天は源泉100%かけ流しの、黄金色のモール泉です。レストランや大休憩室に加え、水着で通年楽しめる室内プール『バーデプール』もあり、家族みんなで過ごせます。西那須野塩原ICから約15分です。

所在地:〒329-2801 那須塩原市関谷1689-1
電話:0287-35-2711
営業時間:10:00〜22:00(最終受付21:00)
定休日:毎月第3水曜(祝日の場合は翌日)
駐車場:150台(大型可)
料金:平日 大人800円/土日祝 大人1,000円。夜間(17時〜)平日700円・土日1000円。小学生以下 平日350円・土日500円、3歳以下無料
HP:acatsuki.co.jp/shiobara

さあ、出かけよう

空に近い湿原を歩き、滝のしぶきを浴び、打ちたてのそばを味わって、長い吊橋を渡り、最後は黄金色の湯につかる。那須塩原なら、こんなに欲張りな一日が、車があれば現実になります。

出かける前に、もう一度だけ準備の確認を。歩きやすい靴と、高原用の羽織りもの、山あいを歩くときの熊鈴。そして、お店や施設の営業日・営業時間は、HPまたはSNSで確認しておくと安心です。

地図を開いて、行きたい場所に印をつけたら、あとは車を走らせるだけ!次の休日は、那須塩原で贅沢な絶景ドライブに出かけてみませんか。

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